2005年12月15日

二世帯住宅について9

味を含め、文化の伝承はいいことだと思います。しかし、時としてそのことが、トラブルのもとになることがあります。

実際にお聞きした例をご紹介いたします。私の現役の頃の話です。ぜひ参考にしてみてください。始まりはいつも、ほんの些細なことです。

私が担当し、二世帯住宅入居二ヶ月目の、あるご家庭の話です。上下完全分離タイプです。

二世帯での生活が始まると、両世帯一緒に食事をすることが増えます。その時に「これおいしいですね。」「ほんとう、ありがとう。今度また教えてあげるわ。」「ありがとうございます。」嫁、姑のよくある場面です。それまでは、事前に決めたルールもあって、お互いのキッチンには遠慮して入らなかったのが、ここで変化がおこります。

それから時々お母さんは、お嫁さんにお料理を教えに来るようになりました。お母さんも自分の知識を教える事に喜びを感じています。お嫁さんもありがたく思い初めはすごくうまくいっていました。しかし、今までは気付かなかったのですが、お嫁さんのお料理のしかたに、あちこち気になることが出てきたのです。

 まず買い物のしかた。
 冷蔵庫に食材を入れるときの入れ方。
 野菜の使い方。(野菜のどの部分まで食べるか)
 出汁(だし)のとりかた。
 インスタント食品の使い方。
 食器の洗い方。
 水切りネットの換える頻度。
 
こんな事がすべて、気になって気になってしかたが無くなったのです。お料理を教えるついでに、ついつい、こまごまと、口を出すようになり、その後ちゃんとやっているか、チェックまで入れるようになりました。

キッチンによく来るということは、部屋によく来る、滞在時間が長くなる、まわりのものが良く目に付く、となってきます。

お母さんは良かれと思って、次第に掃除や、片付け方にまで、口を出すようになってきました。主婦業の先輩として、お料理の先生として。

一方お嫁さんの方はというと、最初に「おいしい」と言ってから、これまでに、お母さんは、しょっちゅう来るし、あれこれ注意されるし、やってなかったらまた言われるし、最近は掃除のしかたまで、あれこれ言われるようになってきた。何とかしたい。

私はお嫁さんにその事を聞いたので、お母さんにさりげなく言ってあげました。私はお母さんのほうとも仲良しだったので言いやすかったからです。まだ初期の頃だったので、お母さんもすぐに改め、再度ルールを作り直したようです。

その後は何とかうまくいっているようです。

二世帯住宅を長くうまくやるのには、時間の経過や、人、暮らしの変化に対応して、その都度話し合う場をもうけたり、ルールの見直しをしたりが必要なのかもしれません。また、相談できる人や、あいだをとりもつ人がいればベストだと思います。

文化の伝承もそれ自体は大変良いことですので状況を良く見て行えば確かに大きなメリットです。

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2005年12月13日

二世帯住宅について8

二世帯住宅のメリットとデメリットは、多くの本や、ウェブ上で、紹介されていると思いますので、ここでは実際にあったケースをもとに、世間一般に、うまく行くコツと紹介されているのに、実はその反対だったりというようなことを幾つかご紹介させていただきます。

・本音を言い合える関係がうまくいく秘訣?

ある二世帯住宅のお母さんが言っています。

「うちは二世帯で住んでいるけど、嫁とはしょっちゅうやり合っているわよ。どちらも本音で言い合うから、よくケンカするけど後はお互いケロッとしてるわ。これが、うまくいく秘訣ね。」

お母さんによると、お嫁さんも言う時は言う人みたいで、ケンカになると、かなり強い調子で反論しているようです。この二人はうまくいっているのでしょうか。腹にためないのがいいのでしょうか。

その後ついにお嫁さんが爆発しました。もう我慢できないと。

実は、今まで、お嫁さんのほうは、本音では無かったようなのです。義理のお母さんに対して、どうしても言えないことはやはり、言わずに我慢していた
そうです。どこまで腹の中を出しているかなんていうのは、他からは分からないものです。

一方、お母さんにとってみれば、嫁が言い返してくるので、言いたいことを全て言っていると思い込み、その上嫁に言われ腹も立っているものですから、毎回ひどい事まで言ってしまっていたそうです。

その差がたまりにたまって今回爆発したと言う事です。

また、違うケースで、実の母と娘というのがあります。普通はうまくいく一番にあげられ、実際にもうまくいくことのほうが多いのですが、以前ご紹介したことがあるのですが、実の親子だからと、遠慮無く言い合い過ぎ、修復不可能になったケースもありました。

このように、本音で言い合える関係をつくろうというのは、実はかなり危険な事なのかもしれません。打合せの時は踏み込んで、それこそ本音で話さなければいけませんが、暮らしが始まったら、長く続くものですから、私のおすすめはやはり、適度の遠慮や配慮を持ち続けることだと思うのですがいかがでしょうか。


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2005年12月12日

二世帯住宅について7

前回お話したように、二世帯住宅に対して腰の引けた営業マンから、開き直り、二世帯住宅反対派を宣言し、それでも真剣に話を聞いてくださる方には、必死に提案する営業マンに変身したわけですが、前にも書きましたが、その後、誰よりも二世帯住宅のお客様が多い営業マンになっていました。

今回は、私が当時から思っている、親世帯や、子世帯と長く、うまくやっていこうとした場合の順番について書きます。

1, 近居(きんきょ)・・・・・・・これは、二世帯住宅ではなく、近所に住むということです。

2, 同一敷地内2軒・・・・・・・・これも、別棟ですので、二世帯住宅とは言えません。

3, 左右(親世帯平屋)の二世帯住宅

4, 左右の二世帯住宅

5, 上下の二世帯住宅 
           
6, 一部共有型二世帯住宅

7, 同居型二世帯住宅

これらは、土地の大きさや、資金計画なども、関わってきます。言えるのは、できるだけ、独立度を高めたほうが、長い目でみて、うまくやっていけるだろうということです。しかも、将来の変化にも対応がしやすいというのもあります。

親世帯や、子世帯と同居を考えている方には、状況をよくお聞きした上で、その実例や、問題点を伝え、1の近居からお勧めし、順に考えていきます。

その上でやはり二世帯住宅しかないとなれば今度は事前に解決すべきことはすべてつぶさなくてはいけません。全員が少なくとも、「現在考えられる範囲内」は納得するまで、話し合います。

またその中に遠慮がありすぎてもダメなので、立場の弱い方の意見をくみ上げられるよう、ここで、本当は営業マンのリードが必要なのです。踏み込むのはこの時です。

そして、ここで、話がまとまらない時は一旦やめるべきだと私は考えています。時間を置くか、完全に別の方法をとるか、そして、これを言い出すのも、本当は営業マンが適役ではないかと思います。

ですから、波風をたてず、何とかうまくまとめて契約することしか頭に無い「売る側」の人にはこれは無理なのかもしれません。

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2005年12月09日

二世帯住宅について6

 「 よし、やろう。」そう決意した私は、そのお客様に、それまでにお話した大変な部分を解決し、現在考えられる限りの対策をたて、より良い二世帯住宅づくりのお手伝いをすることを約束しました。

 もう、お客様も私も真剣勝負です。私は自信がない分、あらゆる情報を集め、勉強しながら、研究しながら提案するというスタイルでした。しばらくは、他の仕事はそっちのけで、かかりっきりになりました。競合は無く、すべてまかせていただきましたので思いっきり取り組めました。

 途中、親世帯とも本音で話し合い、色々なことが発生しましたが、最終的にはご両親の敷地に少し余裕があったため、左右分離型の二世帯住宅が完成しました。親世帯、子世帯ともに喜んでいただき、現在もうまくいっているようです。

 この件があってから、私は自分なりの「二世帯住宅観」を持つようになりました。

 「基本的には二世帯住宅は反対」、これには「条件が整えば、二世帯住宅賛成」という意味が入っています。

 ただ単にメリットだけを求め、安易に進めた二世帯住宅には反対です。各住宅メーカーにもぜひ聞いて欲しいと思います。お客様に嫌われたくないのは分かりますが、あまりにいいイメージを打ち出しすぎるのはやめていただきたいと思います。


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2005年12月08日

二世帯住宅について5

 ある日、モデルハウスに、二世帯住宅を考えておられるご夫婦が来られました。腰の引けた私はいつものように、大変ですよ、やめとかれたほうがいいですよと真剣な顔で言いました。

 すると、「どこが大変なんですか」と、逆に真剣な顔で聞いてこられました。
どうやら、その前に見てきた他社数社とはまるで違う反応に驚いたようです。

 どこも、「いいご計画ですね」「二世帯住宅なら私どもへ」とアタックをされ、どことどこに頼もうかしらと、やる気満々でいたところに、いきなり「大変」「やめとけ」と、言われれば、驚くのは当然です。

 ただ、驚くのと同時に少しだけ、「やっぱり大変なの?」と心の奥にあった、かすかな不安を再認識させられたような気持ちになるようでした。

 どこが、どこが、と特に奥さんの質問がはげしく、私は延々とその大変さを話し続けました。うんうんとうなずきながら聞いていたご夫婦はやがてこう言われました。

 「あなたの言われることはよく分かりました。私達はどうやら大事な部分をあいまいにしたまま進めようとしていたようです。どの工法がいいとか、外観はこれがいいとか、こういうイメージでとか、そういうことばかり頭にありました。それに気付かせてくれたことはありがたく思っています。しかし、今さら、やめるわけにはいきません。わけがあってどうしても両親と同居しなければならないのです。あなたは大変だ、やめておけと言いますが、じゃあ私たちはどうすればいいんですか。うまくいく方法は、教えてくれないんですか。」

 全くごもっともです。腰の引けた私にとって、お客さんの計画に対して、警笛は鳴らせても、うまくいくように自信をもってアドバイスすることはできなかったからです。

 次回は、それからどうしたか、私の言う「基本的に二世帯住宅反対」とはどういうことなのかについて書きます。


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2005年12月07日

二世帯住宅について4




前々回、私が現役の頃の話を書きました。二世帯住宅の担当は、必死に取り組めば取り組むほど、大変なのです。時間もかかりますし、気苦労も多いです。

私は、自分の都合よくお客様をコントロールするのが下手でしたので、新しくモデルハウスに来たお客様が二世帯住宅を考えていると言われると、本気で、大変ですよと言っていました。営業的なトークでわざと断って興味を引きつけるというのではなく、本当にお互い(私とお客さん)が大変だと思っていたのです。

うまくいかない理由を説明し、やるとしてもこんなに大変ですよ、こんなこともやらないとダメですよと言っていました。一回帰って親と相談してきてくださいと言ったこともありました。真剣さの感じられない方にははっきりと、やめとかれた方がいいですよ。と言ったことも有ります。

なぜ、当時、こんなにも私自身が二世帯住宅に対して腰が引けていたのかというと、若手時代に二つの私にとっての衝撃的な出来事があったからです。

ひとつめは、担当して建てた二世帯住宅が、入居一年で売りに出てしまったこと。このお宅は、入居後しばらくしてから行くと、すでに雰囲気が悪くて、それからは私とも疎遠になりはじめていました。売りに出た事も不動産業者から聞いたのでした。

もうひとつは、土地を探してほしいとモデルハウスに相談にこられたご夫婦があり、その理由が今住んでいる二世帯住宅から、一刻も早く出たいというもので、その状態になった一部始終を聞かされたことです。

当時私は、仕事をただこなしていただけ、の時期でしたので、住宅が人様の人生にこれだけ影響を与えることを改めて認識しました。

ひとつめのケースでは、二世帯がうまくいかなかった理由を、くわしくは聞けませんでしたが、いわゆる嫁姑の関係が原因らしいとだけは分かりました。計画段階からそういう雰囲気はあったのですが、深くはつっこまず、波風を立てないように進めてしまったように思います。

もうひとつは、一般にうまくいくといわれている娘夫婦との二世帯住宅でした。このケースでは、母娘間がもめたそうで、母のほうに父がつき、娘のほうに娘の旦那さんと子供がつき、世帯間で完全に対立したそうです。実の母娘で、遠慮が無く、言いたいことを言い過ぎたのと、父がまだ現役でバリバリ働いていて、親世帯の力がかなり強く、折れなかったことが、子世帯が出て行くまでにもめた原因でした。

このようなことがあり、いい加減な気持ちで、二世帯住宅に関わることはやめようと思い込んでしまいました。そしてその後しばらくは、前に書いたように腰の引けた営業マンになってしまったのでした。(つづく)


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2005年12月06日

二世帯住宅について3

 ずいぶん前に住宅のテレビのコマーシャルで、新築の二世帯住宅の、光が降り注ぐ明るいリビングで、一台のピアノを通して、奥さんと、義理のお父さんとのふれ合いを描いたものがありました。

 イメージとして伝えたかったのは、二世帯住宅を建てるとこんないいことがありますよ、こんな暮らしができるんですよ、というものだと思います。

 どのメーカーも二世帯住宅の打ち出しはこれに代表されるようなものでしょう。
では現場の営業マンはどうでしょうか。

 二世帯住宅を希望する方に対して、どこの住宅メーカーの営業マンも会社と同じく、「それはいいことですね。」というスタンスで、接近してきます。

 相談したいことや、不安に思っていることが、あるにはあるのですが、目の前の営業マンは笑顔で、「二世帯住宅ですか、いいですね。最近多いんですよ。当社も得意としております。ご心配ありません。まかせていただければいい家をつくります。」と来るわけです。このまままかせて、結果的にうまく行くこともあります。でもその反対も多くあるのです。

 ここで、一般の営業マンの気持ちについて少し書いてみます。

 一般的に営業マンは、二世帯住宅と聞くと、大型の家、ほめてもらえる、受注金額多い、歩合給が多くなる、と思ってしまいます。と同時に、面倒なことが多い、打合せに時間がかかる、というマイナス面も頭に浮かぶわけです。このようなことを考えながら、お客様に「それはいいことですね。」と言います。

 このことから分かっていただけるように、営業マンの本音としては、契約はほしいが、面倒だ。いいかえると、楽にできるのなら契約がほしい。うまく進めて、話をまとめたい。となります。

 こういう営業マンで話を進めると、耳障りのいい言葉で表面的な注意点を指摘してくれますし、よくある提案を盛り込み、間取りを作ってくれます。

 ちゃんとアドバイスされたつもりになり、迷いながらも事を進めたつもりになり、完成していく、ということになります。親子間で意見も交わしたし、プロの意見も聞いたし、となるのです。

 どこが問題か、もうお分かりと思います。

 私は単世帯の住宅でさえ、もっと時間をかけて、しっかり検討しましょうと言っているぐらいですから、二世帯住宅なら更に追加検討期間と世帯間(せたいかん)の話し合いが必要であると思っています。普通なら踏み込まないところにも踏み込まなければならないのです。

 その上で、世帯間の話し合いによっては、本当にやめておいたほうがいいケースもあるのです。二世帯住宅はそのぐらいで丁度ですし、しっかり話し合いして、両世帯が納得して建てた場合は、メリットはもともと多いのですから、素晴らしい住まいになるでしょう。

 次回は前回少しふれた、「二世帯住宅反対派」の私の現役時代の話をもう少し詳しく書いてみます。


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2005年12月02日

二世帯住宅について2

 まず私の意見から書きます。基本的には反対です。うまくいくケースもありますが、残念ながらうまくいかないケースのほうが、多いと思います。

何が問題なのか、うまくいくにはどうすればいいのか今後考えていきたいと思います。

 私が現役の頃、スタンスとしては今と同じで、反対派でした。モデルハウスで、説明する時も「二世帯住宅を考えているのですが」というお客様がいたら、「やめておかれたほうがいいのでは・・・。」と言っていました。

怒って帰る人もいましたが、ほとんどの人は、「えっ、どうして。」と逆に興味をもってダメな理由を聞いてこられるのです。そういう方は真剣です。私は時間をかけて、延々とダメな理由を話し続けるのでした・・。

 いつしか私は誰よりも二世帯住宅のお客様が多い営業マンになっていました。

 この特殊な体験をもとに、今後この難しいテーマに取り組んでいきます。



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2005年12月01日

二世帯住宅について

今回から、新しいテーマとして、二世帯住宅をとりあげようと思います。

これは非常に難しいテーマであり、かなり意見が分かれると思いますが、私なりに書いてみようと思います。また、ご意見いただければと思います。くわしくは次回からです。


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